禅のパスポート

禅語録 無門関no解釈to意訳

禅のパスポート NO12 提唱無門関【素玄居士】復刻・意訳

          無門関 第十二則 巌喚主人 (がんかんしゅじん)

【本則】素玄提唱 本則はおかしなもんじゃ。自分で自分を呼んで眼をさませとか、だまされるなとか、こんな心意的なことは禅にはない。A・B・Cと云うてD・E・Fと答えてもよいが、本則はチト公案としては変じゃ。瑞巌老はこんな自戒めいたことを云って、自分で警醒(けいせい)し行持(ぎょうじ)綿々密々(めんめんみつみつ)、禅機の一と見てもよい。禅境に出頭没頭(しゅつとうぼっとう)する間の、閑工夫(かんくふう)の一つじゃ。この出頭没頭は拙著「禅境」に詳述しておいた。

   【本則】瑞巌(ずいがん)の彦和尚(げんおしょう)、

       毎日 自ら主人公と喚び、また自ら応諾す。

       すなわち云く「惺惺著」(せいせいじゃく)

       「諾」(だく・ハイ)

       「他時異日(たじいじつ)、人の瞞(まん)を受くること莫(なか)れ

       「諾々」

【素玄 曰く】胡馬(こば)北風に嘶(いなな)く・・

(アエテ意訳スレバ・・1日千里を走るサラブレッドは、遠い故郷から吹いてくる寒風に誘われ、嘶いて走り出す)

【本則】自分が自分を呼んで、目を覚ませ!とか・・騙されるなよ!とか・・ハイと返事もしている。こんな心理的な自己問答・・禅ではない。だが、瑞巌老の自戒めいた話は、自分で禅機(エンジン)を発動させ、禅境(車のドライブ)を楽しむ心地であろう。

公案とみるよりは、看脚下=照顧脚下の実際を看よ・・と迫る話だ。

【無門曰く】瑞巌老は、夜店のお神楽(かぐら)の面売りだね。しかも独りで売って、独りで買う・・落語の花見酒、杯と五文のやり取りか・・儲けのないフーテンの虎さんだ。(ニィ!は語気を強める「サァドウダ」の口調)

威勢のいいタンカ売に、買おうか・・どうしようと、キョロキョロまごまごしたら、この買い物、高くつくぞ。まして瑞巌老の真似や受け売りをしたら、禅気に毒された病人・・と判定されるぞ。

   【無門曰く】瑞巌老子(ずいがんろうし)、自(みずか)ら買い自ら売って、

        そこばくの神頭鬼面(じんずきめん)を弄出(ろうしゅつ)す。

        何が故ぞ、漸耳(にい)、

        一箇は喚ぶ底(てい)、一箇は応ずる底、

        一箇は惺惺底(せいせいてい)、一箇は人の瞞を受けざる底、

        認著(にんじゃく)すれば、依然として還って不是(ふぜ)。

        もし、また他に倣(なら)わば、すべてこれ野狐の見解(けんげ)ならん。

【無門曰く】素玄 註。神頭云々(お神楽の面)漸(語を強める俗語。禅の公案語録は多く当時 市井(しせい)の方言俗語をそのまま口語体に駆使したもののようで、これも口調である。禅では上品ぶったり体裁を飾ることはない。赤裸(せきら)に無頓着なのだ。だから自然に用語に方言俗語が入るし、口語体にもなる。別に遠慮会釈することもないから語勢もキビシク猛烈じゃ。こんなことは日常茶飯(にちじょうさはん)にも介しないのじゃ)認着(惺々着・せいせいじゃくとか瞞・まんを受けざれとかの語意にしがみついていたら駄目じゃ)他に倣う(瑞巌の模倣もほうをしたら野狐禅。こんなことの受け売りは3文の値打ちもない)

 【頌に曰く】禅を知識や論理で解かろうとする者は、南極で北極星をさがす愚か者だ。雑念・妄想がいっぱい詰まった望遠鏡で、見えない星がどうして見えるものか。日常生活そのままが、人間本来の生き方だと思ったら大間違い・・(だから現実、実利重視の女性や学理の蕎麦屋蕎麦屋の釜は湯=ユウばかり、スマホ狂信者はナカナカ禅を手に入れられない)スターダスト⇒★と望遠鏡にへばりつくゴミ・・間違えるなヨ!。

  【頌に曰く】学道之人不識真  学道の人、真を識(し)らず、

        只為従前認識神  ただ従前 識神(しきしん)を認めむるが為なり。

        無量劫来(むりょうごうらい)生死の本、

        痴人喚(ちじん よ)んで本来、人(にん)となす。

【頌に曰く】素玄 註。参禅者 禅の真を知らざるは 従来の雑念妄想が いっぱいに詰まっているからだ。俗人は生死の本、即ち 日常生活しているソノコトが本来の人間だとしている。

けれども禅は日常生活以外に別の道ありじゃ。

他の瞞を愛くるナカレ。

お願い

素玄居士 著「禅境」の本を探しております。

おそらく この提唱無門関 下記同様、発行所 狗子堂、絶版になったと思われます。素玄居士の経歴、禅行由来など、少しの情報でもありましたら ご連絡(メール)ください。

参考 絶版「提唱無門関」現在意訳中の巻末記載 昭和十二年八月二日印刷 八月四日発行 

        定価送料共 金弐圓 一・八〇圓

著者(発行者)高北 四郎  東京市王子区上十條一五七八番地 池袋二ノ一〇五レ 

印刷者 徳永種晴  東京市芝区田村町五丁目二十三

印刷所 大洋社印刷所 東京市芝区田村町五丁目二十三

発行所 狗子(くす)堂 東京市王子区上十條一五七八番地 池袋二ノ一〇五レ

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